親知らずの痛みに対する治療法は、炎症の程度や親知らずの位置、患者さんの年齢や全身状態によって異なります。
抗生物質や鎮痛薬の投与
智歯周囲炎や感染性の炎症が強いケースでは、抗菌薬(抗生物質)によって原因となる細菌の増殖を抑え、同時に鎮痛薬で痛みを軽減します。これにより炎症を一時的に抑えることで、後の抜歯や処置が安全かつ円滑に行える状態に整える目的があります。症状の程度に応じて薬の種類や服用期間が調整されますので、医師の指示に従って服薬を継続することが重要です。
親知らずの抜歯
繰り返す炎症や強い痛みがみられる場合、また親知らずの位置や生え方から将来的に再発や他の歯への悪影響が予想される場合には、炎症が落ち着いてから抜歯を検討します。まっすぐに生えていないケースや骨の中に深く埋まっている場合は、一般歯科では難しいこともあり、大学病院や口腔外科での処置が推奨されます。抜歯の判断にはCT画像などによる詳細な診査が重要で、安全性を考慮したうえで最適な治療計画を立てる必要があります。
クリーニングと洗浄
腫れや膿が確認される場合には、局所の洗浄処置が行われます。消毒液などを用いて親知らず周囲の歯茎やポケット内を丁寧に洗い流し、細菌の数を減らすことで炎症を鎮めます。必要に応じて、排膿処置を行ったり、消炎効果のある薬剤を塗布することもあります。この処置は応急的なものであり、根本的な原因を解決するためには後日の抜歯などを検討することが重要です。
投薬による経過観察
全身疾患や高齢などで外科的処置が難しい場合や、親知らずの位置が神経に近く抜歯にリスクを伴うケースでは、内服薬を用いて炎症や痛みを抑えながら、状態の推移を慎重に見守る方針をとることがあります。抗菌薬や鎮痛薬で症状が緩和されることもありますが、あくまで対症療法であるため、症状が再発したり悪化した場合は改めて抜歯の検討が必要になります。

